(1)運命の人
「その日な、わたし、大阪の、◯◯っていう喫茶店に友達とおってん。知っとる?照明が、暗くて有名な店なんよ。
あまりまわりも見えんしな、でも、漫画本を取りにいったんよ。そのときな、あるテーブルが光ってみえてん。
ぼわっと。で、男の人が座ってた。不思議やねん。真っ暗なのに、そこだけが、ほんとにボワっと光って浮かぶねん。
その人も友達と来ていてな、なんでだかわからんけど、”この人だ”って、わかった。」
「でもな、どうしても、近くにいかれへん。近くにいって、声をかけたらいいのに、それができへん。」
なんで〜〜〜〜〜〜〜〜!!
あっちだってきっと気づくよ。
「うん。ちかづいたらな、なにか反応もあったかもしれん。でもわたし、逆に逃げてしまってん。」
「そのときわたしな、今でもこのへんボソボソしとるけど、もう、ひどいアトピーで、めちゃくちゃやってん。
こんなんみたら、その人どう思うんやろ。せっかくの再開なのに、こんな顔でよう会われん。」
「みられたくない」
と思った。一番の気持ちが、それだった。
それで彼女はそのまま気づかれないように店を出て、家に帰ったそうです。
ことの成り行きを説明した友達に、「ばかあ!なんで会わへん。あの人こっちみてたやん。」といわれたそうです。
リアル。(わかる。)と思った。
すごい、リアルな話だった。
そっち(天上)でどんな約束をしてきても、こっち(地上)にはこっち(地上)の都合があんねん。
0コメント